炬火の製作

 1.芯葭刈り
 2.芯の製作
 3.化粧葭簀の製作
 4.芯の縄掛け
 5.穂葭刈り
 6.穂葭の製作
 7.穂打ち
 8.火除け
 9.仕上げ
 10.手炬火


 1.芯葭刈り

   
葭刈り

刈り取り風景

育った、葭は、人間の背丈をゆうに超えます。
機械で、葭を刈って行きます。
刈り取った葭には、草も混ざっています。

昔は、鎌で、刈っていたそうです。
選別

葭の選別と、根本揃え

葭を選りだして、根本を揃えます。
結束用稲藁

束用の藁(わら)

刈り取った、葭を束ねるために、藁(わら)の穂先同士を結びます。

結束準備

藁に葭を乗せます。

直径25〜30センチ分の葭です。
結束2

束にする

結束用の藁を使って、束にします。
結束は2箇所で行います。
結束詳細

束藁の結び目

出来た輪の中に、捻った部分を、折って入れます。
捻れが戻らなくなり、解けません。。
結束された葭

葭の束

根本で、直径25cm程度です。


運搬のトラック

運搬のトラック

刈り取った葦は、トラック4台分に、なります。
葭架に立て込み

集積

葭架に、立て込みます。
乾燥

乾燥

2週間程度、乾燥させます。

乾燥状態

乾燥完了

水分が抜けて、軽くなると共に、丈夫になります。
乾燥すると、青々としていた緑の葉が、枯れ草の色に変わります。




 2. 芯の製作
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  2−1.作業台の準備


輪木

作業用の輪木を、敷き込みます。

この上で、芯を製作していきます。
  2−2.小束の製作
小束

小束を作ります

葭を直径10cm程度に束ねます。

小束の末切り

捨て切り

押し切りで、根本側を切断します。



小束の先切り

切断

押し切りで、葉先を切断し、決まった長さにます。
  2−3.中束の製作
中束用葭

小束を輪木の上に集めて、中束を作ります。

束にして、直径、50cm程度の量です。
完成後に、先細りに成らないよう、一部は根本と先を入れ替えて置きます。
束にする

仮締め

ベルトで巻き、丸くなるようにします。
団扇板

団扇板

端が揃っていないと、団扇板でたたいて、位置を揃えます。


バンドの置きかえ

丸く締まると、PPバンドに置きかえます。
下の整形1

下の整形2

下側の整形

炬火を立てた場合に、下側になる側を、団扇板やハサミを 使って整形します。



中束

完成品
  2−4.芯部分の束
芯の部分1

中束を4本使います。
芯の部分2

バンドで締めて、丸くします。
丸くなると、PPバンドに置きかえます。

  2−5.外周を追加
外周部の補充

外周部に、10本の中束を追加します。

外周部の中束は、中心部の中束から、下側に15cm出します。
このへこみには、お多福を取り付けます。
締め付け完了

バンドを締めて、丸くします。

膨らんでいるか所が有れば、締めながら、カケヤで叩き、丸い形に整形します。
最後には、カケヤで叩く音が、堅く感じるようになります。

昔は、芯に巻いた、縄を両方から引きながら、上に乗った人がカケヤで叩いて、丸くしていったそ うです。
下部の整形

下の部分の整形

周辺の束の、内側角をハサミで落とします。
出ている葭などを、滑らかになるように刈り取ります。
整形の確認

お多福が付けられることを確認
 2−6.完了


移動

移動

皆で担いで、仮置き場所に移動します。
仮設置

設置

次回の作業に備えて、仮設置




 3. 化粧葭簀の製作
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男葭

男葭

芯に使われる葦と違い、根本の直径は、2〜2.5cm有ります。


葉剥き

葉を剥く

男葭の葉を剥きます。

刈り立てですので、先の方が折れやすいので、気を遣います。



切断

根本側の切断

根本側は、鎌で刈り取ったの斜め面なので、鋸で切断し、軸に対して、直角にします。
清掃

掃除

1本毎に、固着している、葉、白いカス等を布巾
で拭き取ります。
寸法切り

押し切りで、長さを揃えます。
編み上げ具

編み上げ具

柱に、横板が乗っています。
縄掛け溝

縄掛け溝と、簾(すだれ)端の印
麻縄とコマ

シュロ縄とコマ

作業性を良くする為に縄をコマに巻きます。
湿し

湿し

シュロ
縄は、水に浸けて、湿らせます。


麻縄を設置

シュロ縄を切り込みにセット
一本目

最初の一本は、全て結わえます。



編み上げ中

編み上げ中

編み上げの捩り位置は、 千鳥となります。
1m程度で、一旦、全て結わえます。
葦簀完成

完成した葦簀

(全長4.9m)




 4. 芯の縄掛け
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  4−1.葭簀の巻き付け

葦簀の準備
葭簀の準備

芯の下側に合わせて、化粧葭簀を広げます。
こも
こもの敷き込み

化粧葭簀の内側に巻く、
こもを重ねて広 げます。
化粧材の巻き付け

巻き付け

化粧葭簀と、こもを芯に巻き付けます。
化粧葭簀の下側
下側


化粧葭簀の上側
上側

 4−2.横縄掛け


縄

縄の準備

縄を切断

縄を必要な寸法に切断します。



横縄掛け

横の縄掛け

円周方向に、縄を掛けます。(8箇所)
2本の縄を2回廻して、4本にします。

結び目
中央の結び目

飾り結び

結び目の拡大

芯の中央で、括ります。
余った縄を30cm離して、横縄に飾り結びを行います。
飾り結びの所で、余った縄を切断します。
上側が中央の結び目
下側が、飾り結び

 4−3.縦縄掛け


縦縄仮杭

上部の縦縄

頭の杭

芯の頭の中心に、縦縄の仮止め用の杭を打ち込みます。
ここから8本の縦縄を掛けます。




横縄に結ぶ

横縄に結ぶ

横縄にくさびを入れて、隙間を作ります。

横縄の外側から、中側を通して、縦縄の外側に出て、再び、横縄の中側を通して、結んでいきま す。
横縄への括り(左)
中央から左側


横縄への括り(右)
中央から右側


縦縄の結び目

縦縄を横縄に括ります。
中央から左側と右側で、通す方向は変わります。

縦縄掛け完成

縦縄掛け完成


 4−4.縦縄の上部処理


仮杭の除去

仮杭除去

絡まないように、縄を通して、仮杭を外します。
上部の縄

上部詳細

結ぶ

相対する縦縄どおしを結びます。
 4−5.下部の処理


位置修正

下部の整形

ずれた。化粧葭簀の位置を修正します。
押し込み

打ち込む

留め

中心に集めた縄を、杭で打ち込んで留めます。

 4−6.底の縄掛け


輪の開始

開始

縦縄に結びます。
杭と縦縄への結び

杭

結び

杭と、縦縄を巻いて、結びます。
縦縄毎に結びます。





外の輪

外の輪

外側の輪の完成
杭の頭揃え

杭の頭揃え

杭の頭の位置を揃えるために、打ち込みます。
底の輪縄

輪縄の結び目

輪縄の完成

輪縄は、2重です。
内側の輪の中には、お多福が取り付けられます。



 4−7.とも綱


取り付け1

取り付け(1)

対角に通します。

とも綱は、上部と下部に、各々2本を取り付けます。
取り付け2

取り付け(2)

もう一度通します。
取り付け3

取り付け(3)

とも綱として、出ていく縄を廻してある縄の下を潜らせて、締め付けます。
なう

縄をなう

出ている、縄に縒りをかけて、1本の縄にします。
さらに、1本を追加して、1本の縄にします。
解け止め

解け止め

必要な長さで、結んで、玉にし、残りを切り落とします。
頭綱:1.8m
胴綱:1.1m

 4−8.完成


縄掛け完成

完成

次回の作業に備えて、立てて設置します。




 5. 穂葭刈り
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穂の付いた葭

穂がついた葭

葉は、まだ青いですが、葭の先に、穂がつきました。
刈り取ってからの開花を考えて、穂が開く前に刈り取ります。

葭の穂
葭の穂

ススキの穂
ススキの穂


葭とススキの区別

現在では、ススキが勢力を伸ばしてきて、混ざっています。

水害防止の為に、低水位面が下げられたので、地面が乾燥する場合が多くなり、 雑草が勢力を伸ばしています。

刈り取り風景

刈り取り風景

草刈り機で刈っていきます。


選別

選別

刈り取った葭に穂がある物を選別します。
9000本の穂葭です。
穂先揃え1

穂先揃え2
穂先の揃え

寸法を揃えて切断するために、穂先を揃えます。




寸法切り

寸法切り

押し切りで、決まった長さに切断します。
1.8mと1.5mです。
穂葭の束

穂葭の束

100本をまとめて束にします。
束にするのは、藁を使います。
片づけ

片づけ

不要な葭、切断屑の葭等のゴミが出ますので、選別作業をした後は、葭原にゴミを片づけます。
搬入

搬入

持ち帰った葭は、来年の使う時期まで、小屋に搬入して保存します。

葉は、青いですが、来年になると、カラカラに乾燥し、枯れ葉色に変わっています。




 6. 穂葭の製作
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わら打ち
木槌
木槌


わら打ち

稲わらを打って、柔らかくします。
この稲わらで、5本の穂葭を束に巻きます。



巻き風景
穂葭巻き風景

9000本の穂葭を使い、束にしていきます。
長さは、1.8mが2000本で、残りは1.5mです。
巻き(1)

巻きだし

巻き出し

5本の穂葭の根本を少しずつずらします。
わらを挟んで巻き付けの準備をします。







巻き付け(1)

巻き付け(1)

一番出た一本から巻き始めます。
巻き付け(2)

巻き付け(2)

密に巻き付けます。
力を入れて巻かないと、芯に打ち込んだ時に抜け落ちます。
巻き終わり(1)

巻き終わり(2)

巻き終わり

穂葭の間に稲わらを挟みます。





穂葭の束

巻き詳細

穂束

1800本の穂束を作ります。










 7. 穂打ち
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足場

足場

頭に、穂葭を打つために足場を建てます。
打ち込みの組

打ち込みの組

足場の上に上がり、杭打手と、穂植手が、二人一組となり、穂束を打ち込みます。

中央から、周辺に向かって、打ち込んで行きます。

穴開け
杭打ち


孔空け杭

孔開け

前に打ち込まれた、穂束の間際に杭を打ち込みます。
打ち込むには力が要りますが、穂葭が密になります。

差し替え

差し替え

穂束を杭に当てて、押し下げておきます。
杭を抜き、孔が閉じる前に、杭孔に穂束を挿入します。


増し入れ

増し入れ

押し出されないように、力を入れて、押し込みます。
穂葭の根本

穂葭の根本

芯に打ち込まれた、穂葭の根本
(切り口が芯の葭)
穂打ち完成

穂葭近景

完了

密に打ち込まれているので、先端ほど広がっています。





 8. 火除け
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  8−1.火除け束


火除け寸法

火除けの定規

寸法

長さを合わせて、切断します。
長さは、1.2mです。

火除け束

火除け束根元

火除け束

根本をわらで巻いて、束ねます。
基本の本数は、5本です。
現在は、すすきですが、昔は、
まこも(真菰)を 使っていたそうです。



まこも
まこも(真菰)





保存

保存

出来上がった束を水に浸けて、本体に打ち込むまで保存します。
(水を含ますことにより、炬火を燃やした時の炎と熱が担ぎ手に行くのを防ぎます。)

 8−2.防炎シート


防炎シート

防炎シート

穂葭と、火除けの間に入れて、炎を防ぎます。

長さは、取り付けた場合に、穂葭部分のの半周になります。
幅は、火除けからはみ出さないように、90cmです。
加工

加工

シートの上下に、針金を通して、垂れないようにします。
端には、本体に打ち込むための竹を取り付けます。
 8−3.火除け打ち


穂葭受け

穂葭受け

この作業になると、打ち込まれた、穂葭が、広がって垂れてくるので、穂葭受けを周囲に組みま す。
杭打ち込み

孔開け用杭

孔開け

芯の外周端と穂葭の間に、杭を打ち込みます。




火除け打ち込み

火除け打ち込み

火除け束は、穂葭受けを跨いで、差し込みます。
打ち込みを方法は、穂葭の打ち込みと同じ様に、杭孔に火除け束を差し込みます。
整形

整形

乱れている、火除けの葉をハサミで整形します。
 8−4.完了


火除け完成

完了

程良く、穂葭が開いて、広がりが出てきます。




 9. 仕上げ
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 9− 1.横棒止め


上横棒止め
上部の横棒止め

横棒止め

杭を打ち込み、担ぐ場合の横棒をずれないようにします。
下横棒止め
下部の横棒止め

横棒止めの杭




 9−2.鉢巻き縄


鉢巻き縄

鉢巻き縄

本体頭部の、化粧葭と穂葭及び、火除けの間に見える芯の葭を、覆うために巻きます。
 9−3.御幣


御幣

御幣

鉢巻き縄の下側に御幣をくるりと垂らします。
 9−4.お多福


串


お多福の仮組

お多福

無事を祈り、お多福を着けます。
炬火の縦、横の状態で、取り付ける位置を素速く変えるために、串で止めます。
お多福と扇子は、別々の串です。

仮組



お多福

取り付け
 9−5.完成


炬火正面
正面

背面

完成

奉納後、点火前の場所に設置された状態です。

背面




  10.手炬火
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最後へ
 
 
 
 
結束1

結束2

製作

今年に刈り取った葭を、縄で束ねていきます。
直径は20cmです。
縄のピッチは、30cmです。


 
 
 
結び目

結び目



先導用手炬火

先導用手炬火

長さは、3.0m、直径20cmです。
(神輿の先導に使われます。)

 
 
 
点火用手炬火

点火用手炬火

長さは、4.5m、直径20cmです。
内部に竹を入れて、上部に葭を補充しながら、伸ばし、束ねます。
(大炬火の点火に使われます。)




ここで終わりです。 
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